天才数学者の苦悩
A BEAUTIFUL MIND
(2001年/アメリカ)
監督: ロン・ハワード
評価:★★★☆☆
ストーリー:
プリンストン大学院の数学科に入学を果たしたジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)は授業にも出ずひとり研究に没頭していた。論文も書けず孤立するナッシュであるが、ある日、画期的でありかつ独創的な数学理論“ゲーム理論”を思いつく。この功績により希望するMITのウィーラー研究所に採用され、生徒であったアリシア(ジェニファー・コネリー )とも結婚する。しかし、米ソ冷戦下、暗号解読という極秘任務にを任された彼は、精神的に追い詰められていく。
感想:
ノーベル賞受賞した数学者であるジョン・ナッシュの実話を映画化したもので、数学者が主人公の映画というのはとてもめずらしく、それだけれも価値のある作品ではないかと思う。ちなみに、ノーベル章には数学賞はないので数学者が受賞するというのも稀なケースでもある。
全体としてはバランスのとれた良い作品である。前半のナッシュの天才的な生き方から、サスペンス仕立ての中盤、精神的に病んでからの妻の支えと復帰、そして、ノーベル賞の受賞と盛りだくさんの内容をコンパクトにまとめている。彼の人生のいくつかの大きな転機をダイナミックに表現し飽きさせない。
ラッセル・クロウが数学者という一風変わった役柄を迫真の演技で引き付け、ジェニファー・コネリーも妻の聡明さやひたむきな愛情をうまく表現している。
ただ、サスペンス仕立てにする必要はあったのかは多少疑問が残る。サスペンスの部分を切り捨てナッシュの天才的な部分や、妻アシリアの2人の深い愛情を強調するというやりかたもあったのではと感じた。また、これは仕方のないことなのだが、アシリアがあまりにも美しすぎる。