こんな愛情も純愛の一つなのでしょう
OASIS
(2002年/韓国)
監督:イ・チャンドン
評価:★★★☆☆
ストーリー:
暴行、強姦未遂に続いて、ひき逃げ事件による刑を終えたジョンドゥ(ソル・ギョング)。家族のもとに戻るが、誰も快く迎えようとしない。ある日、ジョンドゥはひき逃げで死なせてしまった被害者遺族を訪れる。一家は引越しの最中で、部屋にはコンジュ(ムン・ソリ)という女性一人が取り残される。コンジュは脳性麻痺のため手足が不自由で発語にも重い障害を抱えていた。兄夫婦は彼女の名義で障害者用の立派なアパートを手に入れ、そこへ移って行ってしまった。ジョンドゥはそんなコンジュのことが気になり彼女の住むアパートに通うようになる。
感想:
不器用でどうしようもない駄目男のジョンドゥ、はじめはどうしようもない男としか映らないが、コンジュを真っ直ぐに愛する姿勢に次第に心打たれてくる。ソル・ギョングはこの、どうしようもない、まるで子供のようなジョンドゥを無理なく演じている。そして、重度の脳障害という極めて難しい役をムン・ソリが体当たりで演じている。2人の迫真の演技が最大の見所。
家族のみならず、社会からも疎まれている二人だけにしかわからいない、純真な愛情。社会の残酷さとは裏腹に、コンジュの心の世界は実に美しい、部屋を飛び回る白い鳩、心の中では自由に動き回れる自分自身、そして魅惑のオアシスの風景。初めて心の扉を開いた駄目男のジョンドゥへのひたむきな愛が、想像とともに自分になくてはならに存在へと膨らむ。社会の異端な人々への排他的な側面をこの映画では強調している、しかし、2人の絆はそれ以上に強いことを強く感じた。