オゾン監督の罠
Swimming Pool
(2003年/フランス/イギリス)
監督:フランソワ・オゾン
評価:★★★☆☆
ストーリー:
イギリスの売れっ子の女流作家サラ(シャーロット・ランプリング)はスランプに陥っていた。サラは出版社の社長ジョンの勧めで、ジョンが所有するフランスの別荘に訪れ、新作の執筆にとりかかる。そこに、社長の娘ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)がやってくる。豊満な肉体で裸のままプール泳ぎ、毎晩のように男を連れ込むジュリーに、サラは苛立ちを感じていた。サラはジュリーとジュリーの母に興味を持つようになり、次第に2人は打ち解けあう。しかし、別荘に遊びに来た顔見知りのウェイターが行方不明になるという事件が起こる。
感想:
リュディヴィーヌ・サニエの大胆なヌードと美しいプールが眩しい。話の後半から、急に現実離れしたことが次々に起こりだす。そして、極めつけはシャーロット・ランプリングのヌード。話の急展開に必死でついていく観客を尻目に、最後のあっと驚くネタがまっているという、巧妙な仕掛けを準備している。まんまと、オゾン監督の罠にかけられてしまった。
官能的というほどでもなく、ミステリーとも違い、そして、芸術的な映画でもない。オバサンのサラとナイス・バディをもてあますジュリーの危うい関係を楽しみ、そして、オゾン監督の謎かけを後からじっくり解いていくのが、この映画の楽しみ方だろう。
この別荘での出来事は、サラの欲望の裏返しではないかと感じます。
<以下、未見の人は読まないことをお勧めします>
この映画は、解釈の仕方が人それぞれだと思いますので、以下私の解釈を書きます。
結局、すべてはサラの想像なのですが、どこまでが現実かというところで解釈がわかれそうです。すべてが想像で、サラはフランスには行っていないという解釈も有り得るかもしれませんが、それではあまりに面白くない。どこまでが現実なのかを考えるがこの映画の面白いところなのだと思います。
私は、サラはフランスに行き、ジョンに電話するまでは現実ではないかと想像しました。そして、登場人物の多くは、滞在中にどこかで会っているものだと考えます。そして、別荘では偶然に、ジュリーの日記やジュリーの母が書いた小説等を読んだのかもしれません。
ジュリーはサラの想像の人物なので、サラのことはなんでも知っています。それで、サラがしたくてもできない行動を実行し、サラが一番気にかけていることを辛らつに言えるのでしょう。そして、サラが子供を持ちたかったという叶わぬ欲望も少しばかり叶えてくれたのだと思います。そして、話の流れで男性も誘惑することになるという、すべてサラの欲望の裏返し。
最後に、本当のジュリーを見て思うのです。私の想像したジュリーの方がずっと良かったと。最後の意味深な微笑みが、なんだか怖く感じてしまいました。