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年間100本を目標にDVDの感想を書いています。
by coyabu
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アイズ ワイド シャット

映画は虚構である

EYES WIDE SHUT
(1999年/アメリカ)
監督:スタンリー・キューブリック
評価:★★★☆☆




ストーリー:
ニューヨークに住む内科医のビル(トム・クルーズ)とその妻アリス(ニコール・キッドマン )は、幸せに暮らしていた。しかし、ある日妻から不倫願望を告白され、ビルは衝撃を受ける。彼は、夜の街を徘徊し始め、娼婦ドミノ(ヴィネッサ・ショウ)と知り合う。やがて、昔の友人から聞き出した資産家たちを会員とする秘密のパーティに潜入するが、ビルが会員でないとバレてしまう。

感想:
キューブリックの遺作となってしまったこの映画は、緻密で荘厳な映像に満ちている。しかし、ある種の不快感を感じてしまった。私の苦手なトムのせいかと思っていたがどうやら違うようだ。しばらく、この言い様のない、不快感の原因をしばらく考えていたが全くわからなかった。

同じような不快感を別の映画で感じることで、この原因がわかったような気がした。それは、ベルトリッチの新作「ドリーマーズ」を見ていたときのことである。この映画はとてもすばらしいのだが、性器が大きく映し出されるシーンがある。そのため、肝心な場面で大きなボカシが入っている。このボカシに対する不快感と似た印象だったのだ。「アイズ・ワイド・シャット」の主題は「真実は見てはならない」、キューブリックは真実という物をこの映画で意図的に隠そうとしていたように感じる。

そう考えると、この映画のもつ映像美や狂気、倫理観もすべて、真実を隠すための道具に使われているように思えてくる。トムは、戸惑いを演じているように見えるが、それは演技することに対する戸惑いに思えてならない。そして、キッドマンの美しく、繊細にみえるその裏で、女優という職業に対する貪欲な態度を感じてしまう。これらも、みな、キューブリックの計算なのか?

そして、ストーリーの結末である腑に落ちない謎解き、映画での真実は何だったのだろうか?そこまでして隠したい、キューブリックの真実など実在するのだろうか?最後に、大きな謎を残して、偉大な監督は逝ってしまった。大人の態度として、この映画は、見なかったことにしておくのが正しい選択なのかもしれない。
by coyabu | 2005-04-13 23:33 | 映画(あ行)
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