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年間100本を目標にDVDの感想を書いています。
by coyabu
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影武者

魅力的な脚本、動と静の表現、まさに一級品

(1980年/日本)
監督:黒澤明
評価:★★★★★





ストーリー:
戦国時代。武田信玄の弟・信廉は兄・信玄と瓜二つの男(仲代達也)を見つける。その男は、磔(はりつけ)にされていた泥棒であったが、信玄の影武者として引き取られる。しばらくして、信玄は出陣中に敵の鉄砲で打たれ死亡する。しかし、信玄は家臣に、自分が死んでから3年は秘密にしておくように遺言を残していた。信廉とその家臣は、影武者を使い、敵も味方にも信玄がまだ生きているように振舞うのだった。

感想:
黒澤明のカラー作品として、最高の出来ではないでしょうか。3時間に及ぶ大作ですが時間を忘れさせてくれます。まず、非常に良く練られた、ストーリーと脚本が魅力です。影武者を通して、武田信玄の人物像に迫るという独特で巧妙な手法が成功しています。

そして、動と静の対比がすばらしい。冒頭、厳かに弟の信廉が兄・信玄へ影武者を紹介するシーンから、伝令が軽やかに走るシーンへとつながります。この2つのシーンのカメラワークだけで、画面に引き込まれてしまいます。そして、最後の長篠の戦いでは、怒涛のように攻めていく武田の騎馬隊の力強い動きに対し、信長軍の鉄砲で見るも無残に全滅させらてしまうというスローなシーンへの切り替わりが見事です。

個人的には途中にはさまれる、2つの能舞のシーンがとても印象的でした。一つは、武田信玄の死を隠すための催しとしての本格的な能舞台、炎の中に美しく舞が演じられています。もう一つは、信長が信玄の死を知り、追憶のために信長自身が力強く能を舞います。

また、言うまでもありませんが、色彩が非常に美しく、特に有名な「風・林・火・山」のうち「風」「林」「火」の三つの部隊の色使いが巧みで、このあたりが、「七人の侍」等と印象が違うところだと思います。

リンク
影武者@映画生活
by coyabu | 2005-03-26 23:40 | 映画(か行)
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